今までのテーマトーク

9月のテーマは「あなたはどんな風に部落問題と出会いましたか?」です!

BURAKU HERITAGE のメンバーは、部落の出身者の人もいれば、そうでない人もいます。それぞれが、どのように部落問題と出会い、今日に至ったのか、是非聞いてみたいです。(たみ)

みどりん  ものごころついた時には、「私はこの地域の子で、私の地元は部落。」という自覚があった気がします。なので「出会った」といわれるとピンとこないのですが、大人から伝えられる差別の話ではなく、私自身が実体験として部落「問題」と出会ったのは、中学の時、校舎の塀に差別落書きが書かれた時かもしれません。(2011/9/11)

りゅうし  最初の出会いは小学校2年生の時。
小学校に入学してから毎月、親から小学館の漫画『日本の歴史』を買ってもらっていました。それが大好きで、何度も何度も読み返していました。子どもから質問があったときのために保護者のページがあるのですが、それも読んでいました。
第15巻でいわゆる「士農工商」、つまり武士・農民・町人の生活が描かれていました。漫画本編ではなく、保護者のページに江戸時代の身分制によって差別があることの解説があり、手をつないでいるイラストもありました。その時にはそんなことがあるんだなぁという認識にすぎませんでしたが…。
実際に部落出身だとカムアウトされている方と出会いは、高校3年生の時です。その時も、なんでわざわざそんなことを言うのかな、と思ったのをおぼえています。その体験が今の研究につながっています。(2011/9/11)

たみ  みどりん同様、私も物心付いた時には知っていました。ただ私は部落に住んだことはなく、親から「あなたは部落民なのよ。部落民は悪いことは何もしていないけど、世の中には差別してくる人がいる。でも、こちらに悪いところは何もないんだから、差別される理由はないし、差別に負けちゃいけない。」というのをしょっちゅう叩き込まれてたという感じで、部落が地域を指すのだということすら最初は知りませんでした。

学校で同和教育があったわけでもなかったので、初めて親以外のところから部落問題についての情報を得たのは、中2の時に始まった歴史の授業で、私の人生にとっては大きな問題なのに教科書に載るとこんなにあっさりしたものなんだなとショックを受けたのをよく覚えています。これもある意味、部落問題との出会いです。世間ではどう捉えられているのかという意味での。

あともうひとつ、部落問題と出会い直したなと思うのは、出産後。子どもに部落のことをどう伝えていくのかというのを考えに考えた時。それまでの私は、「部落=差別」という文脈でしか見ることが出来ていなかったのですが、子どもにどう伝えていこうと思ったときに、「あなたは差別されるかもしれない存在だ。」ということだけでの伝え方は絶対にしたくないなと思ったのです。それで、部落には様々な文化や人たちがいるということ、部落問題を考えるということは突き詰めていくとこの世の中の人々がどうしたら幸せになれるのかを考えることなんだ、という、部落問題を考える上でのプラスの可能性に気付いた時です。(2011/9/25)

さたやん  まあ、ありていな話ですが、小学生のときに配られた道徳の教科書(という認識の)「にんげん」と、市が発行していた人権作文&ポスター集の冊子。特に同和教育に熱心だったというわけではありませんが、ごく自然に「社会問題」としてすんなり受入れました。

 さすがに自分の身直な問題とまで考えるにはいたりませんでしたが、妄想心旺盛な子だったので「もしクラスに部落の子(あるいは在日の子)が居たら差別しないでいられるだろうか?」「もし私が部落の子だったら?」といったことをひとりでモヤモヤと考えたりしていました。

 それが具体的なリアリティとなったのは実に10年ほど前のこと…つまり北芝と出会ってから、というのが実際のところです。その間、ずっと妄想…‘もし部落の人と出会ったらどうしよう?’の設問をクリアせずにいたわけですな。で、実際の出会いは、ごくあっさりとクリアされてしまいました。 (2011/11/13)

みよ  たみとは姉妹なので境遇は似たり寄ったりですが親が熱心な活動家だった為物心ついたころから知っていました。

ただ、“出会った”というのか分かりませんが自分が周りの子たちと違うのだと気づいたのは保育園の時にありました。

朝、出欠を確認した後「前日の夜何をしていたか?」と先生が聞いてきました。たまたま前日集会があり、それに家族で行っていたのでそれを言おうと手を挙げていました。その時最初に指されたのは他の子でその子の答えは「家族でご飯を食べに行った」というものでした。

それまでは無意識に自分がしている事は自分以外の子もしている事だとどこかで思っていたのだと思います。なので、自分と違う答えに驚いたと同時に「みんなには集会とかないんだ。自分は他の子と違うんだ。これは言っちゃいけない事なんだ」と思った事がありました。

それ以降は中学校の社会科の授業でサラッと触れられたくらいだったと思います。

まぁ、その時不登校だったのであまり授業の記憶はありませんが…(笑)  (2011/12/15)

ともえ 部落問題というのは、私の中では、差別やアイデンティティの問題だと思うのですが、それらを問題として認識し、学んでいったのは、2001年大学1年生のときに受講した教養科目の講義で、です。自分の祖父母や父母の世代の差別と思っていましたが、学んでいくうちに、自分が生きている今の時代にも残っている差別の実態(部落外の人たちが部落をどういうふうに見ているかや、進学率や収入などの実態的な格差など)を知りました。「生まれてくる子どもが差別されるかもしれないから部落の人とは結婚したくない」という意見に共感できる、という人が同世代の学生のうち半数いました。以来、このような忌避的差別に対し、どう向き合っていくのか実践的な私の課題です。                           (2012/1/11)