関連用語集

「部落」に関係する様々な用語について、BURAKU HERITAGEメンバーがまとめた解説。

このHPで出てくる言葉が分からなかった時はぜひこちらのページをご覧ください。
※福岡人権啓発情報センターで実施された企画展"My Storys"をプロデュースした際にまとめたものを、許可を得て掲載しています。

部落 / 被差別部落

被差別部落とは、江戸時代以前の身分制度のもと、穢れているなどとされてきた人々が居住している場所(部落)であるために、差別の対象となってきた地域のこと。部落に居住する人々、そこにルーツを持つ人々、部落に関わりがあると見なされた人々に対して、日常生活や、結婚・就職などの場面において、部落差別が引き起こされてきた。

 

解放運動 / 部落解放運動

部落差別をなくすために、部落の人々とそこに連帯する部落外の人たちによって取り組まれてきた社会運動。その内容は、結婚や就職などにおける差別の撤廃の要求はもちろん、貧困や差別によって劣悪であった地域の暮らしや教育の実態改善、地域内での支え合いのコミュニティづくりなども含んでおり、

 

解放同盟 / 部落解放同盟

全国水平社の流れを汲む、戦後につくられた部落差別の解消を目的とする団体。都府県連単位の「連合会」、さらに地域単位(各部落の単位)で「支部」が組織されている。

 

ムラ / 在所 / 地区

部落の地域を指す時に使うことがある呼称。地方によって呼び方が様々であるが、「うちのムラは・・・」「あそこの在所の人が・・・」というように使う。

 

狭山事件

1963年5月1日に埼玉県狭山市で発生した、高校1年生の少女を被害者とする強盗強姦殺人事件。犯人として逮捕された石川一雄さんが無罪を主張し、現在も再審請求が行われている。解放同盟などは、この事件を部落出身者である石川さんに対して予断と偏見にもとづいた捜査が行われたことによる冤罪・差別事件であるとして、長年無罪判決の獲得を運動の中心的課題の1つに位置付けている。

 

支部

ここでは、部落解放同盟の地域ごとの「支部」を指す。部落のコミュニティ内の「結び目」「中心」と言える役割を果たしている。

支部の中には子ども会、教育守る会(保護者会)、青年部、女性部、老人会などのさらに細かく分かれたグループが複数あり、差別をなくすための政治的な活動のみならず、セーフティネットづくりや、文化活動、教育活動なども行なっていることが多い。

 

集会

ここでは、解放同盟の中央本部や各都道府県連合会、支部などが実施する、勉強会や会議などを指している。

 

解放子ども会

放課後や週末などに部落の子どもたちなどが集まって活動する子ども会。地域によって活動内容は異なるが、学校の勉強の補充学習、料理やスポーツなどの文化活動、差別や人権についての学習などが行われた。子ども会で過ごす中で、自分が部落出身であるというアイデンティティ形成がなされることも多かった。

 

解放学級

ここでは、解放子ども会や同和教育の中で行われた、部落出身の子どもたちが部落問題や自分のルーツに向き合う活動を指す。その時代や地域によって内容はさまざま。

 

高校生友の会

解放子ども会の高校生版。取り組み内容は地域によって様々だが、進路や恋愛など高校生ならではのテーマについての話し合いなどが増えることが子ども会との違いと言える。

 

解放奨学金

同和対策の一環として、経済的な理由で高等学校等に進学することが困難な者に対して、奨学支援や一時金を給付(途中から貸与)して、進学を奨励する制度。奨学金によって部落の子どもたちの高校進学率は上昇し、部落外との格差が縮小した。

 

全奨(全国解放奨学生集会)

解放奨学金を受けている部落の高校生が全国から集い、部落差別についての学習や、各地の取り組みの紹介、被差別体験の語り合いなどを行なってきた。奨学金の施策が終了した現在は全国高校生集会に名称を変えて継続されている。

 

 

隣保館

貧困や差別などにより他地域と比べて劣悪な状況下にある地域の課題を解決するために建てられ、地域住人に対して適切な援助を行い、地域福祉を向上させるための社会福祉施設。

部落の中では、コミュニティセンターとしての役割も大きく、また地域内外との交流の拠点でもある。

 

 

同和教育 / 解放教育

部落の子どもたちの教育を受ける権利の保障、学力保障と進路保障を目指すところから始まった、在日韓国・朝鮮など外国にルーツを持つ子どもや障がいを持つ子どもなど他のマイノリティの子どもたちを含むすべての子どもたちの教育を受ける権利の保障と自己実現、反差別・人権尊重を社会の中で実現していくための教育活動を指す。

 

立場宣言

被差別の立場にある、部落、在日韓国・朝鮮人などの子どもたちが、学級活動や全校集会などの機会に、自分の出自・社会的立場をみんなの前で明らかにし、家庭のことや自分の思い、みんなに伝えたいことなどを語る取組。肯定的なアイデンティティを育むことや、共に差別に抗える仲間づくりを目的に、同和教育の中で特に80年代〜90年代に活発に行われた。

 

大量差別ハガキ事件

2003年から2004年にかけて、部落解放同盟員などに誹謗中傷や差別的な内容のハガキや高額な商品の送り付けなどの嫌がらせがあった事件。犯人は同盟員の名前を使いハンセン病療養施設にも差別ハガキを送り付けていた。2004年に犯人逮捕。送られたハガキは400通以上に及ぶ。

 

ABDRC(アブダーク)

Anti-Buraku Discrimination Action Resource Center(部落差別反対行動リソースセンター)の略。全国の部落の所在地や解放同盟関係者の個人情報などを主にインターネット上で晒す行為に対し、インターネットでの情報発信やイベント開催などのカウンター(対抗)活動をしているグループ。

 

ヘイトスピーチ

人種や民族、宗教、性的指向、出自などに基づいて、そのグループに属する個人やその集団に対し、攻撃、侮辱、排斥をする言動のこと。日本でも、在日韓国・朝鮮人に対するものをはじめとして、被差別マイノリティへのヘイトスピーチ、特に路上でのヘイト行動やインターネット上でのヘイトスピーチが近年問題化している。

 

穢多・非人

被差別部落のルーツとなった江戸時代の身分の代表例。
※ 「穢多・非人」等の呼称は、差別的な賤称語であり、現在も差別用語として社会で生き続けており、部落問題を学習する場面以外では使うべきではありません。今もなおこの言葉に深く傷つけられ、悔しい思いをしている被差別部落の人々の思いから学び、「差別の重さ」を共に考えていくことが重要です。このHPでは、部落問題を理解するためにそのまま使用することがあります。

 

ケガレ / 穢れ

不浄であるとして忌避される存在のこと。平安時代以後、死や血を忌み嫌う考え方が強くなった。人間や動物の死や出産、女性の月経などは不浄(ケガレ)とされた。ケガレに触れた人はそれが浄化されるまで、一定期間、神社に参拝することなどを慎む必要があるとされた。