今までのテーマトーク

2014年3月のテーマは「『ある精肉店のはなし』観た?どうだった?」です!

映画「ある精肉店のはなし」についてはこちら→ http://www.seinikuten-eiga.com/

みどりん  神戸のアートビレッジに見に行きましたー。のっけから知ってる方が出てきてちょっと笑ってしまいましたが、それはさておき。すごーーくあったかい、い〜い映画だなあ!と思いました。

 

家族の愛と、家族が地域に向ける愛が、しっかりと伝わって、共感で涙が出ました。私も家族と地域がとても好きです。

 

特に後半、小学校高学年ぐらいのお孫さんの姿や表情を見てたら泣けてしまい・・・。なんと言うか、地域の中で、家族の中で成長しながら、歴史を引き継いでいる感じというか・・・。アイデンティティが育っていく感じというか。うーん、うまく言えないのですが。確かに「何か」を感じ取り、受け取り、引き継いでいる。この先それが重荷に感じたり、不自由さになったりすることも、あるかもしれないけど、でも、そうやって気がついたら受け取ってしまっていたものは、やっぱり大事に思わざるをえないんだよなあ・・・。自分にも何か、家族から、先祖から、過去の地域の人達から、引き継いでいるものがある、というか。同じ"何か"が自分の中に流れている感じ、というか。これ、多分、同年代のほとんどの人にはサッパリ理解されない感覚だと思いますが。苦笑

もちろん想像でしかないのですが、この子が感じてるであろうものを、私も感じながら大きくなったなあ、というふうにしみじみと思いました。

 

こんなこと言うのも野暮なのですが、全然啓発っぽくなく、それでいて、差別のただ中で生きてきた読み書きができなかったお父さんのこと、部落解放運動のこと、その中でしっかり立って生きてきたことが、丁寧に、素朴に、描かれていて、見る人に問いかけるものがあると思います。

 

こういうふうに「家族」を、「暮らし」を、「仕事」を、背景ごと撮ってくれた監督に、お礼がいいたい気分になってしまいました。(2014/2/12)

たみ  観てきました~!観たのがたまたま「映画の日」で1000円で映画が観られたからなのか、それともいつもこんなに盛況なのかわかりませんがほぼ満席で、私は関係者でも何でもないのに「こんなにたくさんの人たちがこういうテーマの映画を観に来てくれているなんて!」と上映前から勝手に感激してしまいました(笑)

 

みどりんの感想を読んでから観に行ったんだけど、ああ、なるほどなぁ。確かになぁと思いながら、観ていてとてもあたたかい気持ちになりました。いい家族だなぁ、私もどうせ部落に生まれたんならこういうコミュニティで育ちたかったなぁと思ってみたり(笑)

 

でも、観ていくうちに、だんだんモヤモヤっとしてきて、「このまま終わるの?」「このまま終わっていいの?」「あ、そのまま終わった…。」と、最終的にはモヤモヤしたまま映画館を出ました。

 

何にモヤモヤしていたのか自分でもしばらくわからなかったんだけど、やっと言語化出来るくらい整理が出来てきました。それは、いい話すぎるということ。

 

人も、家族も、コミュニティも、光の部分もあれば影の部分もあるというか、白い部分もあれば黒い部分もあるというか、いやもっと正確にいうと白も黒も、はっきりわかれてるわけじゃなくて白だったり黒だったり限りなく白に近いグレーとか黒に近いグレーとか、そういうのがぐちゃっと大理石みたいに混ざり合ってるものなんじゃないかなと思うんだけど、この映画は白いところをあえて抽出してつなぎ合わせているんだなということを感じて、人を、家族を、仕事を、コミュニティをそういう風に描くことに対して違和感がある私は、多分モヤモヤしたんだと思います(いや、もしかしたら、解放運動をしているお家でありながら、何度も出てくる台所のシーンでは料理をしているのがいつも女性陣ってこととか、息子さんがお城で結婚式を挙げていることとかを黒や黒に近いグレーとして配置しているのかなと思わないこともないのですが…)。

 

でも、それでも、もしこのドキュメンタリーが撮られていなかったら、こういう映像の記録が残らないままあの屠場が閉鎖になっていたんだよなと思うと、監督さんありがとうと思うし、間に合ってくれてよかったなぁと思っています。(2014/3/23)