今までのテーマトーク

8月のテーマは「同和教育について思うこと」です!

ともえ 同和教育が実際どの程度、小中高の学校教育、大学や社会教育の現場で取り組まれているのか心許ない。が、人権が風前の灯火となりつつある現代日本において、人権という普遍的テーマ、すべての人間に通じる人権をきちんと学べる機会としてあってほしい。部落出身者という特定のマイノリティの味わってきた歴史(とりわけ運動の歴史)から、権力者に奪われてはこまる人権を具体的に紡ぎ出すことができるのであり、それをやらなくてどーする!?という感じです。部落出身者としては、部落問題とは何ぞやについて知る人が増える方がありがたいし、日本に生まれたからには知っておいてしかるべきという気持ちはありますが、それ以外の人権をめぐるマイノリティのイシューが取り上げられることになってもかまいません。結局は、社会に無数にある問題を知り、そういった問題を抱える社会と自分を結びつけ、市民として、問題の解決に向けて主体的にかかわっていけるひとが増えていけば、教育の成功と思うのです。(2013/8/11)

たみ 受けたことないです。だからこそ、かもしれないけど、学生時代はずっと憧れていました。私の学校にもあればいいのに、そしたら、今みたいに「部落って何?」って言われなくて済むのにって。でも、大人になってから、同和教育に反感を持っている人になぜか私が文句を言われたことが何度もあります。いろいろ問題やうまくいかないこともあったってことなのかな。

 

大事なのはこどもたちに何を伝えるか、何が伝わるか、だと思うので、同和教育でも人権教育でもそうじゃなくても、形はどうでもいいのかなと思うんだけど、「差別はいけません」とか「思いやりを持ちましょう」とかってことじゃなくて、「人は誰でも、もちろんあなたも、差別する生き物なのです。していないつもりでいるかもしれないけど、差別する生き物なのです。」というところから始めることが大事なんじゃないかなと思います。そこから始めて、その上でどう生きていくのかっていう。

 

同和教育でも人権教育でもないけど、高校時代の生物の時間に先生が「弱肉強食が動物の世界の基本です。上に行きたい、蹴落としたいと思うのは動物の本能です。人間も動物ですから、例外じゃありません。だから、差別もいじめも人の本能としてやってることなのです。」「でも、人間には動物で唯一『理性』がある。その理性でもって差別する気持ちを抑えることはできます。」と言っていたのがものすごく衝撃的だったのと同時にすごく腑に落ちたという経験があって、あれが私にとっての人権教育だった気がします。

 

今って、同和教育は具体的にはどんな形でおこなわれてるんだろ。見学とかしてみたいです。(2013/8/11)

みどりん  「同和教育」ってややこしいワードだと思います。私の中では同和教育っていうのは、「部落問題だけを扱うわけじゃないけど部落問題をはじめとして様々な差別の問題を教える教育」「部落の子など、社会的マイノリティだったり、しんどい背景を抱えている子が、人とのつながりの中で自立していけるアシストをする教育」という認識です。ただ、「部落問題をはじめとする」別に必要はないと思っている私には《人権教育》というワードのほうがしっくりきます。その中に部落問題学習も含まれるっていうイメージ。

 

で、私は同和教育バリバリのところで育ちました。今、教育NPOを立ち上げて活動している根底には受けた教育への共感と違和感があります。

 

地域や学校によって、実践がバラバラなので、一概には言いづらいですが、自分が受けた同和教育を今振り返ってよかったなと思うのは、①差別はするほうの問題、という前提が自分の中にガシンと自分の中に入ったのであまりコンプレックスを持たなくて済んだ。②部落問題だけでなく、日本社会の中にある様々な差別について、課題について関心のアンテナが立った。③一人ひとりの社会的背景を明らかにしたうえで集団づくりが行なわれていて、自己開示しても受け入れられる、みんな考えてくれるという「成功体験」を積み重ねられたことで不安を抱えなくて済んだ、ということかなと思います。

 

あれってどうなのよと思うことは、①画一的な価値観や 行動様式を押し付けた。り、「自分の頭で考える」ことを促さなかったこと。あらかじめ設定された「正解」があった。こと。②自分と社会がどうつながっているのかを学ぶ要素が少なかったこと、でしょうか。

 

今、ときどきいろんな学校に呼んでもらい、人権教育の研修をさせてもらったり、部落問題学習の組み立てを一緒に考えさせてもらうこともありますが、①先生たちが腑に落ちて取り組むこと、②子どもや地域の状況に応じたものをその都度つくり続けること、③参加・体験型の学び方に変えていくこと、④コンテンツ(学ぶ内容)だけじゃなくて民主的な学校文化をつくっていくことが、ものすごく大事だと思っています。

 

もっと具体的に提案できるように現場の先生たちに学びながら考えて、経験を積まないといけないと痛感中です。

 

・・・長くなりました(^^;   (2013/8/11)